「同盟国の日本は、台湾のために米国とともに戦うか。日本は慎重だ」

台湾有事に臨んで日本はいかに動くのか、高まる米国の懸念

古森 義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授. 2023.7.31


いざ台湾有事のとき、米国は日本に軍事的な協力を期待する。

だが、日本政府は軍事協力の実行について明言しない。

それが、米国側の懸念をかき立てている。

仮に在日米軍基地の戦時使用を認めなければ日米同盟は崩壊する、と専門家は見る。

台湾有事に日本はどう対応するのか。

米国側が抱く懸念や疑問が微妙な形で浮上している。

首都ワシントンでは、バイデン政権が最近、中国との対話拡大を試みているにもかかわらず、対中姿勢がさらに強硬となっている。

そんな中で、具体的に提起される最大の危機は、中国が台湾を軍事攻撃する可能性である。

その台湾有事に米国はどう対処するのか。

その議論の過程で、日本の対応に対して米側が抱く意外な不安がにじむのだ。

事は日米同盟のあり方にまで影響する重大な潜在不安要因を含んでいる。

中国の軍事動向や米側の対中政策に詳しい前米海軍大学教授のトシ・ヨシハラ氏は7月下旬、台湾有事をめぐって米側が抱く日本への懸念について記者に語った。

「米側では、バイデン政権も含め、日本が全面協力するとの期待が強い。

安倍晋三元首相は『台湾有事は日本有事だ』と述べていた。

岸田文雄首相も米側に対し、台湾有事に日本が介入すると思わせる発言をしている。

だが日本の国内政情を詳しく知る米側関係者の間では、日本が台湾有事に積極的に関与することはできないのでは、との懸念が強い」

日系米国人であるヨシハラ氏は現在、ワシントンの大手研究機関、戦略予算評価センター(CSBA)上級研究員として活動を続けている。

確かに、米国側では今、一般に、日本が進める防衛力強化への評価が高い。

岸田政権が発表した防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額や反撃能力の保持、さらに、台湾に対する中国の軍事挑発への批判などは、台湾有事において日本が積極的に協力する、と米側に思わせる効果を生んだ。

現にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)が最近実施した「中国による台湾侵攻をめぐる戦争ゲーム」というシミュレーション(模擬演習)の報告書も、中国の台湾上陸作戦(2026年)を想定し、日本の自衛隊が米軍や台湾軍に全面協力して、中国軍を撃退するシナリオを公表していた。

台湾有事において、日本はどのような対応を取るのか。

米軍は中国軍との戦闘を始める場合、(1)在日米軍基地の戦闘用の使用許可を日米安保条約第6条に基づき日本側に求める。

次に、(2)日本側は、平和安保法制に基づいて集団的自衛権を限定行使し、台湾海峡での戦闘あるいはその支援に加わるか否かを判断することになるだろう。

もし、この2つの要請のいずれに対しても日本がノーと答えた場合、ヨシハラ氏は「日本のその対応は日米同盟の終わりを意味するだろう」と答えた。

その一例は、米大手紙ウォール・ストリート・ジャーナルが7月15日付に掲載した「同盟国の日本は、台湾のために米国とともに戦うか。日本は慎重だ」という見出しの長文の記事だった。

この記事は副見出しで「ワシントンと東京は、中国による台湾軍事攻撃への共同対処の計画を練ってはいるが、日本は実際に軍事力を使うことを約束していない」と述べている。

台湾有事に臨んで日本はいかに動くのか、高まる米国の懸念
いざ台湾有事のとき、米国は日本に軍事的な協力を期待する。だが、日本政府は軍事協力の実行について明言しない。それが、米国側の懸念をかき立てている。仮に在日米軍基地の戦時使用を認めなければ日米同盟は崩壊する、と専門家は見る。
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