3/3 映画「不安の正体~精神障害者グループホームと地域」上映後、池原毅和弁護士の講演(一部抜粋)

講演中の池原弁護士

池原弁護士の講演を、一部、抜粋してお伝えします。

①池原弁護士が代表を務める東京アドヴォカシー法律事務所(HP参照)に対して、以下の相談が寄せられた。

東京アドヴォカシー法律事務所 (tokyo-advocacy.com)

それは、「障害者の福祉施設を建設するにあたり、地元住民から反対運動を起こされてしまった。その対応をお願いできないでしょうか」という相談。

調べてみると、「同じような問題」が、全国各地で起こっていることに気が付いた!

何故、<人間の汚い部分・闇が出てしまうのか?

渦中の人は「自身の利己主義」を、第三者的には気づけないのではないか?感じた

私がこの映画「不安の正体~精神障害者グループホームと地域」を作った理由は、大きく分けて2つある。

まず、以下の映像を見てほしい。(youtube動画を会場で流す)

東京の港区で児童相談所を作る際に、地元住民から「施設建設反対!」の運動が起こった。

いかがでしたか?

地元ではない、当事者ではない方々は、この映像を見て「あさましい」と感じる意見が多い。

しかし、地元の渦中に入ってしまうと、人間は、自分の浅ましさが見えなくなってしまう傾向があるのではないか?

大切なことは、「渦中の人」になる前の状態で、そうした「利己主義を主張する姿」を、第三者的に客観的に見つめること。だから、映画を作った。 

「施設コンフリクト」と呼ばれる、住民の反対運動の最中、渦中で発せられる言動を、映画を通じて、第三者の立場で見た時に、どう感じるのか?

それを、体験し、自らが当事者として考える機会を持ってほしい。それが、この映画を企画した第一の目的。

②次に、映画を作ったもう一つの大きな目的は、精神障害のある方々の正しいイメージを、少しでも多くの方に持ってほしい。その為には、どうしたらよいか?と考えた

精神障害者と呼ばれる方々のイメージは、どのように作られるのだろう?

精神障害者の方々との実際の交流は実際問題、できなくても、映画というツールを通じて、精神障害者のことを映像を通じて知ったり、学んだりすることで、感覚的に、より多くの情報や知識、そして正しい理解が得られないだろうか?と私(池原弁護士)は考えた

③具体例を挙げたい。

例えば、一般的な日本人から見た、アフリカにいる<マサイ族>のイメージとは、どのようなものだろうか?

(当日の会場には、実際に、マサイ族の方と会ったことがある、交流したことがあるという人はいなかった)

日本から、あまりにも遠く離れたマサイ族の方々のイメージとは、どんなものだろうか?

そして、そのイメージは、どのようにして形成されていくのか?一人一人が、考えて欲しい。

実際に接触の機会が無いと、メディアから得られる、極めて少ない限られた情報の中で私たちは「典型的なイメージ」を描いてしまいがちだ。

今まで、学校や職場で、そして地域の中に「精神障害のある当事者」に、出会ったことも話したこともないという人々が、直感的にイメージする「精神障害者」とは、「怖い」等の漠然としたイメージであり、その背景には、「犯罪報道」が大きな影響を与えている。

しかし、マスコミが流す報道は、必ずしも正しいとは限らない。

情報には、必ず偏りがある。

その為、「社会的認知」に歪みが生じる。

それが「ヒューリスティクス」と呼ばれるもの。

※ヒューリスティクスとは? 分かりやすく、以下の動画が教えてくれます!

ヒューリスティクス(heuristic)とは→「発見的手法」という意味の心理学用語で、必ずしも正しい答えではないが、経験や先入観によって直感的に、ある程度正解に近い答えを得ることができるという思考法のこと

人間は、本来、得体の知らないもの、怖いものを恐れる。だから排除しようとする。

多くの人間の内部にある<ヒューリスティクス(heuristic)>により、人間には、虚像(イメージ)が形成され、リアルな実態に辿り着けない。誤ったイメージで、物事をみがちになり、それが「偏見」へとつながる。

精神に障害のある方々の、日常生活をありのままに、映画を通じて見てもらうことで、<ヒューリスティクスによる認知の歪み>を、少しでも是正するきっかけになれば幸いです。

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