「戦死をなぜ褒めたたえるのか?」――沖縄・糸満市で見つかった遺骨が問いかけるもの – Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)
「遺骨には、戦死者には、人と会う権利がある。あなたが撮った写真の掲載されたものが、偶然、遺族の元に届くことだってあり得る。生まれた家のテレビに映されたり、その居間で新聞が開かれたりするかもしれない。写真を通してこの人が家に帰れるようにと、念じながら撮って下さい――」
2021年4月、沖縄戦の戦没者遺骨収集を続ける「ガマフヤー」代表、具志堅隆松さんの活動現場を初めて訪れたときのことだ。旧日本軍の壕から次々と掘り出される遺骨を前に、私がシャッターを切ることを躊躇していると、具志堅さんがこう、語りかけてきた。
その後も具志堅さんと共にガマや壕に入るとき、必ずこの言葉を心に刻みなおすようにしている。伝える者として、そして「本土」に生まれ育ち、今なお沖縄に負担を押しつけている側にいる者として、忘れてはならない畏怖だと思うからだ。
4年前に具志堅さんと訪れたのは、沖縄本島、糸満市・束辺名(つかへな)グスク近く(旧喜屋武村)の山中にある日本軍の構築壕だった。今年4月、この壕からほど近い斜面で、ほぼ全身の、それも埋葬された可能性の高い遺骨が見つかった。具志堅さんは発見後、警察と状況を確認の上、周辺を含めた捜索を継続している。