「クビだ」「顔を見たくもない」追放されるガザ出身の労働者…「死と隣り合わせ」でも帰還する人々
【読売新聞】 イスラム主義組織ハマスによる奇襲後、イスラエルで働いていたパレスチナ自治区ガザ出身の労働者が就労許可を取り消され、追放されている。ガザへの地上侵攻で犠牲者が増え続ける中、ヨルダン川西岸の避難所に身を寄せる労働者は、連絡
イスラム主義組織ハマスによる奇襲後、イスラエルで働いていたパレスチナ自治区ガザ出身の労働者が就労許可を取り消され、追放されている。
ガザへの地上侵攻で犠牲者が増え続ける中、ヨルダン川西岸の避難所に身を寄せる労働者は、連絡が途絶える家族の無事を祈りながら過ごし、死を覚悟で帰還する人もいる。
イスラエル政府はガザ情勢の安定を目的として、一部の既婚男性に就労を許可してきた。
10月7日の奇襲前には約1万8000人が建設業などに従事し、ガザで得る10倍以上の収入を得ていた。
戦闘開始で状況は一変した。
イスラエル紙「ハアレツ」などによると、イスラエル政府はハマスによる奇襲4日後にガザ出身者の就労許可を無効とし、不法滞在などで摘発を始めた。
数千人が拘束されたとみられており、今月上旬にガザへ強制送還された。
ヨルダン川西岸には約7000人が逃れた。ラマッラの避難所には約500人が身を寄せ、100人以上が外で雑魚寝を強いられている。
常にスマートフォンを握りしめ、地元の状況を確かめる。
イスラエル側に疑いの目で見られないように、ハマスの話題は避けているという。
「家族に何かあったら、ここにいる自分を許せない」。
ラファ出身の男性(45)は帰還を希望し、許可を待っている。
ハマスによる奇襲があった日の午前、雇い主のイスラエル人から「クビだ。顔を見たくもない」と電話で告げられた。
身の危険を感じ、タクシーで西岸に向かった。