「再発防止以上の結論が必要」と林真琴前検事総長 名古屋刑務所刑務官による受刑者暴行事件受け見解

「再発防止以上の結論が必要」と林真琴前検事総長 名古屋刑務所刑務官による受刑者暴行事件受け見解:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官22人が受刑者3人に暴行を繰り返していた問題で、前検事総長の林真琴氏(65)が本紙の取材に応じた。

長年、刑務所改革に関わった林氏は「刑罰の理念が変わる途上で起きた事件だ。再発防止という結論以上のものを導く必要がある」と指摘した。前検事総長が事件に言及したのは初めて。

◆「刑罰の理念が応報刑から教育刑に軸足が移る中で起きた」

 林氏は2001〜02年の同刑務所での暴行死傷事件を受けた行刑改革の中心人物。刑務作業中心から教育的処遇の視点を盛り込んだ監獄法改正や昨年6月の刑法改正に関わった。

 今回の暴行問題について、「法改正で刑罰の理念が応報刑から教育刑に軸足が移る中で起きている」と20年前との違いを強調。法務省は現在、再発防止に向けた議論を進めているが、「二度と事件を起こさないとするだけでは物足りず、問題を矮小わいしょう化しかねない。新しい刑罰の理念をどう組織全体に浸透させるのか。改革に知恵を絞る必要がある」と語った。

 22人の刑務官は20、30代で、16人が採用3年未満だった。新型コロナ禍後の若手教育の難しさが指摘されるが、林氏は「若手だけでなく組織全体の課題になる」と述べた。(木原育子)

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