「ガザ危機を見る眼」後編ppt 板垣雄三教授 IWJ 2023年11月2日収録
欧米の前哨として造られたイスラエル国家(1)
・1880から1917 帝政ロシア ポグロム ガリツィア・白ロシア等からパレスチナへ
・1917年11月 英 バルフォア宣言 パレスチナにユダヤ人の 民族的郷土 設立
・1920 英・仏・日 サン・レモ会議 中東諸国体制作り 英・仏 委任統治
・1930年代 英・ナチ独・米の連携動作 イシューヴ大膨張 労働の征服
・1947年11月 国連総会決議181 米・ソ合作 48年5月独立宣言 49国連加盟
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欧米の前哨として造られたイスラエル国家(2)
・1956 スエズ戦争 英・仏・イスラエルのエジプト侵攻 スエズ運河国有化潰し
・1967 六日戦争 シナイ半島・ガザ 東エルサレム・ヨルダン西岸 ゴーラン高原
・1973 十月戦争 石油危機惹起、「中東和平」の動き強化、79エジプト平和条約
・1982 レバノン戦争 ベイルート占領、PLO追放、サブラ・シャティーラ虐殺
・1986 核兵器保有が判明 技術者モルデハイ・バヌヌの内部告発
・テロリズムに彩られた国家 1954から60年代 ラヴォン事件
メナヘム・ベギン(エツェル[イルグン]) イツハク・シャミール(レヒ)
1944カイロ モイン卿暗殺 46エルサレム ダビデ王ホテル爆破
48デイル・ヤースィン村大虐殺
48エルサレム 国連調停官ベルナドッテ伯[スウェーデン王族]暗殺、、、
・1970年代から 「テロとの戦い」提起 ゴルダ・メイル政権 「神の怒り」作戦
スピルバーグ監督「ミュンヘン」
G.ジョナス「標的は11人:モサド暗殺チーム」(新潮文庫)
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欧米の前哨として造られたイスラエル国家(3)
・「償い」としてのイスラエル国家 偽善の欧米が護り支える
〈ホロコーストの犠牲者を救い得ず見て見ぬふりした「償い」〉
償うべき人・国は償わず、「償い」をパレスチナ人に押付ける
・反セム主義(ユダヤ人嫌い と 反イスラーム)とイスラエルびいき、反ユダヤ主義という敵を必要とするイスラエル愛国主義、こうした相反する感情 ambivalence の葛藤がイスラエル批判を一律に「反ユダヤ主義」とする排斥に直結、精神の自由奪う
・改訂版シオニズム発のリクード 宗教右派テロリズムと結ぶ
ゼエヴ・ジャボティンスキー(1880から1940) 聖書の「約束の地」に基き、 エレツ・イスラーエールはシスヨルダンに限られない、としてヴェルサイユ体制に反対 メイル・カハナ(1932から1990)のカハナ主義、 バルーフ・ゴールドシュタイン、アヴィグドール・リーベルマン、イタマル・ベン=グヴィル
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欧米の前哨として造られたイスラエル国家(4)
・日本社会にとっての問題として、数多の観点の中で注目するのは、
・1973 オイルショックの経験 72年5月 ロッド空港事件、謝罪使節 派遣、パレスチナ人外交官追放から二階堂官房長官談話・三木中東ミッションまで
・2021 東京オリンピック開会式で1971ミュンヘン・オリンピック選手村襲撃事件のイスラエル選手団人質犠牲者追悼の経緯
・2023 今次ガザ危機にあたって旗色明確にした日本外交の前途
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「ガザ危機を見る眼」後編pptつづき 板垣雄三教授 IWJ 2023年11月2日収録
西方キリスト教の歴史的責任(1)
ヨーロッパ(正統派)キリスト教の反ユダヤ主義(反イスラーム)
・異邦人の宗教としてのキリスト教(使徒言行録28:28)
313ミラノ勅令・325ニカイア公会議・431エフェソス公会議・451カルケドン公会議をつうじ 東方の諸教会(アリウス派・単性論諸派・ネストリウス派)を異端とする三位一体論確立でユダヤ教徒は「神殺し」の民とされる(マタイによる福音書27:15から 特に25)
・キリスト教のユダヤ教からの自立において「割礼」は重要問題
人を見たらキリスト教徒かユダヤ教徒か見分ける癖を拡散 後世のユダヤ人種観に導く
・ユダヤ人迫害(襲撃・略奪・殺害・追放)の動機とされた噂:
(1)聖体冒涜(1215第4回ラテラノ公会議が聖餐のパンはキリストの体に聖変化する化体説を公認、ユダヤ人がそれを教会から盗み冒涜するのを目撃の噂)、
(2)儀式殺人(血の中傷とも、キリスト教徒の少年がユダヤ人に誘拐され儀式用の血を採られるのを目撃の噂、ユダヤ教徒が過越の祭りで門に子羊の血を塗る定めからの類推)後、ポグロムに発展
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西方キリスト教の歴史的責任(2)
・ユダヤ人とは、ユダヤ人のディアスポラとは
・アシュケナジーム セファルディーム ミズラヒーム
・アーサー・ケストラー「ユダヤ人とは誰か、第十三氏族・カザール王国の謎」
(三交社、原著1976年)
シュロモー・サンド「ユダヤ人の起源ー歴史はどのように創作されたのか」
(ちくま学芸文庫、原著2008年)
イブン・ファドラーン〔家島彦一訳注〕「ヴォルガ・ブルガール旅行記」
(平凡社東洋文庫 原著10世紀)
・ハザル(黒海・カスピ海 の北側の草原にいたトルコ系民族の汗国)6から10世紀、
首都はイティル、カガン(王)が正教のビザンツ帝国やイスラームのアッバース朝と対抗してユダヤ教を受容した
・古代イスラエルの宗教を奉じた「イスラエルの民」Israelite(イズリアライト)と20世紀の「イスラエル国民」Israeli(イズレイリー)として同一視し、エレツ・イスラエルを「約束の地」とするシオニズム
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西方キリスト教の歴史的責任(3)
・欧米にとって「ユダヤ人問題(差別と利用)」がもつ深刻な意味
・キリスト教の終末論がシオニズムを産出 キリスト教シオニズムまでも
・キリスト再臨の希望とつなげユダヤ人のパレスチナ集結と彼らのキリスト教改宗とを予定する「前千年王国説」の終末論を信じるピューリタン的伝統(シオニズムはユダヤ教信仰を離れてこれに同調・適応した)を継ぐ福音派のTV説教者たちと信者たちの社会的比重拡大 ヤコヴ・ラブキン「イスラエルとは何か」
・「ユダヤ人」定義問題: 1935ニュールンベルク法、1950・54・70 帰還法
・UNGA(国連総会)決議3379(1975年11月)「シオニズムは人種主義」は
同決議46/86(1991年12月)により無効化 revoke された
2018年7月 クネセトは「ユダヤ人国家基本法」を制定
・イスラエルはフォード政権以降米国の対外援助の最大の受益者
(21世紀では年間40から25億ドル)、
国連安保理でイスラエル擁護のため拒否権発動は1972年から2021年の50年間に53回
J.ミアシャイマー&S.ウォルト「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」、 米イスラエル公共問題委員会AIPAC(アイパック)等の活動 またサイモン・ヴィーゼンタール・センター等「反ユダヤ主義」監視摘発活動
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ガザ危機の現在 通用している概念への疑問
・イスラエル・ハマース「戦争」
[青空監獄の爆発 しかもイスラエルおよびパレスチナ〈自治政府〉の政治危機]
・ガザとハマースを「国」と「政府」になぞらえる感覚
・(暫定)「自治区」とする気楽なとらえ方
・ガザ地区「住民」の多数が難民という素性に対する無感覚
・国際法上の人権としての「抵抗権」(武力抵抗を含む)の無視
・「テロ」と「自衛権行使の民間人虐殺の暴力」(ダブルスタンダード)
・ハマースやジハード・イスラーミー以外の武装抵抗勢力無視
・エルサレム・西岸・レバノン・エジプト・イランは?
・「パレスチナ人問題の最終的解決」 ナクバの「ダーレト」計画の完成
人類自滅の縮図=ガザ 道義は地に堕ち支離滅裂の世界 どうする! 板垣雄三 2023.10.29