私ども労働者協同組合「結の会(ワーカーズ葬祭&後見サポートセンター)」には、遺骨の行方、そしてお墓(供養)に関する相談も数多く寄せられます。
私たち労働者協同組合「結の会」では、毎月誰でも参加できる勉強会を開催しており、2022年11月の勉強会では、労働者協同組合「結の会」理事で、現役の石材店社長より「お墓のリアル」について語っていただきました。
「散骨や樹木葬が流行っているから、それでいい!」と安易に決めるのではなく、菩提寺がある方は、菩提寺住職と、きちんと話をして、場合によっては「離檀(檀家を抜ける事)」の段取りを踏んでからでないと、後でトラブルになることがあります。
一方で、散骨や樹木葬を望まれる方は、本人の生前中から、家族全員で現地に足を運び、実態を直接目で見た上で、皆さんできちんと話し合って決めておくのがベターだと筆者は思います。
以下の記事が参考になります。
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「骨は海に撒いてくれ」故人が散骨を望んでいても実現しにくい“最大のネック”(マネーポストWEB) – Yahoo!ニュース
かつて遺骨は墓に納めるのが一般的だったが、最近では供養のかたちも多様化。
粉状にした遺骨を海にまく「海洋散骨(以下、散骨)」もその一つで、ここ数年で興味を持つ人が増えている。ライフエンディングテクノロジーズの「海洋散骨に関する現状調査」によると、2021年時点で、約9割の企業が5年前より問い合わせ件数が増えたと回答した。
ただし、故人が生前に散骨を希望していても、いざ供養する場面で遺族が戸惑うケースも少なくないようだ。
40代女性・Aさん(メーカー勤務)の亡くなった父親は生前、「俺の骨は海にでも撒いてくれ」と語っていたという。Aさんがその言葉から読み取ったのは「墓じまい」だった。
「父は、死んだ後のことはどうでもいいみたいに言っていたけれど、本当は墓じまいを意識していたんだと思います。お墓は九州にあるので、東京からだと年1回お参りできるかどうか。父は子供に負担をかけたくないというのが本音で、『骨を撒いてくれ』というのは照れ隠しだったように思います。生前、父はよく『墓は維持も大変』と言っていたので」(Aさん)
Aさんの父親の希望通り、供養は散骨で進める予定だったが、Aさんの妹の大反対によって、一時は散骨が白紙になりかけたという。
「父親が亡くなる前は散骨に賛成だった妹が、『お父さんの遺骨が何も残らないなんて絶対に嫌』と言い出して……。確かに妹の気持ちはわかるんです。私もできることならお墓に入れてあげたいと思っていたので。でも父の希望を叶えてあげたくもあり、複雑な気持ちでした。意外だったのは母の態度で、あっけらかんと散骨を支持していました」(Aさん)
妹が反対していたものの、話し合いの結果、やはり海で散骨することになった。Aさんが提案した「折衷案」に妹が納得したからだ。
「業者さんに相談して、すべての遺骨を海に撒くのではなく、一部の遺骨を残してペンダントを作ってもらうことにしたんです。これなら遺骨は手元に残るし、散骨もできる。妹も納得してくれました」(Aさん)
こうした親と子の意識のギャップは、データにも表れている。エイチームライフスタイルが運営するサイト「ライフドット(Life.)」が実施した「親世代・子世代のお墓に対する意識」に関する調査(2020年)では、親世代が望む納骨先は、散骨(26.4%)が最も多かった。
一方、子世代は「従来の墓石のお墓」(33.6%)が最多だった。供養方法に「墓石のお墓」を希望する割合を比較すると、親世代で「墓石のお墓」に入りたい人は14.3%で低く、子世代と2倍以上の開きがあった。
墓を買うより安上がり
葬儀社に長年勤務する現役社員で「考える葬儀屋さんのブログ」管理人の赤城啓昭氏は、散骨の実情をこう語る。
「故人は生前、簡単に『散骨にしてほしい』と言うけれど、いざ遺族が死に直面すると戸惑い、迷ってしまうものです。悩み抜いた結果、散骨をやめることも少なくありません。故人が散骨を望んでも、実現しないというわけです。最大のネックは、やはり手元に遺骨が残らないことでしょう。他に散骨が行われない要因として、墓がある寺の住職から散骨に反対された、という話も聞いたことがあります」(赤城氏、以下「」内同)
散骨にたどりつくまでのハードルは高いが、費用面での注目度は高い。
「一般的に、遺族が船を一隻チャーターし、散骨するプランは25万~30万円ほど。遺族の代わりに業者が散骨するプランは5万~10万円ほど。業者によっては複数の家族が合同で散骨するプランもあり、そうなると15万円前後です。散骨する費用はかかりますが、墓を買うより安いと考えることもできます。墓は都内だと200万~300万円はしますしね。費用面から見ると、墓じまいしたい人にとっても、散骨は有力な選択肢になると思います」
散骨は、故人と遺族の意識差から、トラブルが生じかねないだけに生前に家族一人ひとりとしっかり話し合っておきたい。(了)