原田龍二「絶対に死ぬと思った」。インド洋で難破、生を諦めた瞬間に変わった死生観

原田龍二「絶対に死ぬと思った」。インド洋で難破、生を諦めた瞬間に変わった死生観(OCEANS) – Yahoo!ニュース

『ウルルン滞在記』でスリランカへ

原田さんが目に見えない世界に興味を持ち始めたのは、幼少期にテレビで見ていた心霊系の番組に端を発する。だが、最も強烈な影響として記憶に刻まれているのは、24歳のときにインド洋の大波に飲まれながら「死」を覚悟した経験だという。

「絶対に死ぬと思っていたのに助かった。そこから僕の死生観が始まったんだと思います」(原田龍二さん、以下同)。 当時、テレビ番組の取材でスリランカを訪れていた原田さん。

オーシャンズ世代であれば覚えているだろう、著名人が世界の秘境や民族を訪ねる旅番組『ウルルン滞在記』を。1995年から2008年の13年半、MBS/TBS系で放送されていた超人気番組で、原田さんは放送1年目から登場していた。

『ウルルン滞在記』でスリランカへ

「1995年にカツオの一本釣りにチャレンジするため、スリランカ南部のタンガラ村に行ったんです。乗る船にエンジンはなく、木をくり抜いたカヌーのような簡素なものでした。縦に3人乗ればいっぱいで、沖に出るまで2時間もかかるんです。 ロケの日程は5日間。海に出ても暴風雨にあって引き返したり、悪天候で漁に出れない日が続いたのですが、最後の日にようやく天気に恵まれました。カツオ鳥も飛んでいて、『これは番組的にも最高のシナリオだ!』と思いながら海に出たんですが、途中でむちゃくちゃなシケになるんです……」。

死を覚悟して生を諦めた瞬間

死を覚悟して生を諦めた瞬間

海は大荒れで、波は身長の倍以上もある高さまでうねった。狂ったような暴風と、激しい雨が体を激しく打つ。視界も失い、原田さんたちを乗せた船はまるでジェットコースターのように、上下に激しく打ち付けられたという。

「船の一部は、こっぱ微塵になりました。もう泳いで帰れる距離じゃないし、浮き輪もなければライフベストも着ていない。助けが来るまで、船にしがみついてる自信もありませんでした。 ついに、僕らのボートを牽引していた船のロープも切れたんです。スタッフの『原田く~ん』という声もどんどん遠のいていって、助かる見込みはありませんでした。あぁ、もう無理だ。僕は、スリランカで24歳で死ぬんだ……って覚悟しましたね」。

どう考えても助かるわけがないと死を受け入れ、生を諦めた瞬間、不思議と落ち着き払った自分がいたと振り返る原田さん。その後の記憶はなく、次に目を開けたのは、凪の海に浮かぶボートの上だったという。

「気づいたら港に戻っていました。助かったんですね。現地の人も初めて経験したような大シケで、誰もが助からないと思ってたみたいです。 絶対に死ぬ状況だったのに助かった。それからです、僕のなかで死生観のようなものが生まれたのは。死を受け入れたときの落ち着き払ったあの感じは、いまも忘れていません。自分はいつでも死を受け入れることができるんだと思います」。

自分の価値観を変えた民族との出会い

自分の価値観を変えた民族との出会い

原田さんが訪れたのは10カ国。そのほとんどは、ラオス、ブラジル、アフリカ、モンゴルなどの原住民や少数民族を訪ねる旅だ。

「電気やガス、水道もなく、裸で暮らし、狩りをして暮らす。そういう原始的な生活をしている人たち。近づいたら殺されるような、文明を一切受け付けない民族もいます。笑うときは腹を抱えて笑い、怒るときは木の棒でぶん殴るくらい怒るという喜怒哀楽が激しい人たちもいました。また、神や精霊に接触するシャーマニズムに従って生きている人たちも地球の裏側にはいます。 同じ地球で同じ時代を生きている人間でも、こんなに違うのかっていう強烈な体験を僕はたくさんしてきていて、そういう人たちに会えば会うほど価値観が変わっていきましたね」。

芸能界は見栄と偏見の最たるもの

芸能界は見栄と偏見の最たるもの

生を手放し、死を受け入れる瞬間を経験し、裸で生きる原始的な人間の暮らしに触れる。それを重ねるたびに、原田さん自身の生き方や考え方もどんどんシンプルになっていったという。

「芸能界は見栄と偏見の最たるものですが、着飾ったり、格好つける世界に一切興味がなくなりました。いわゆる普通の世界には、もう刺激がないんです。それよりも、目に見えない世界に強烈に興味があるから、心霊の世界を追求するようになったんです。いまは死後の世界に一番、ロマンを感じますね」。

泡を吹いてぶっ倒れるのが本望

芸能界は見栄と偏見の最たるもの

心霊スポットで霊に会うことを原田さんが心待ちにしているのも、死後の世界に関して何か明確なメッセージやヒントを得たいからだ。だが同時に、YouTuberとしての世俗的な欲望も原田さんは吐露する。

「今回、いろいろな心霊体験をお話ししましたが、あの程度では霊に会ったうちに入らない。僕だって、この世で、あの世のことをもっと知ってみたいんですよ。でも霊感がないし、嘘もつきたくない。ただでさえ、俳優だから『胡散臭い』『演技をしてるんだろ』って言われがちなんですから。 理想は、霊に取り憑かれて泡を吹いてぶっ倒れること。そんな原田龍二を撮ってほしいですね。やっぱり、やるからには霊の脅威を体験したところを届けたいじゃないですか。心霊YouTube業界も競合がひしめいてますから(笑)」

◇ 心霊スポットをめぐる目的は、肝試しではない。死後のヒントを得るためだという独特な持論で更新し続けているYouTube番組も、投稿動画の数が300を超えた。 原田さんいわく「いいところまで来ている」気配はあるという。原田さんが霊に会えた暁には、ぜひまた話の続きを聞かせていただこう。

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