「ホームヘルパーは不要なのか」介護報酬引き下げ、国への抗議広がる:朝日新聞デジタル (asahi.com) https://digital.asahi.com/articles/ASS2162Q7S21ULZU00F.html?fbclid=IwAR3Gbnv2bhmdPdbwRjLaWcyQPGs1Ljfy1B8nWixJ6sx6lTZLnMWSNz1TLrw
ホームヘルパーは不要なのか――。介護保険サービス事業者に支払われる介護報酬の見直しで、訪問介護の基本報酬を国が引き下げたことに抗議する動きが広がっている。危機的な人材不足と物価高騰が続くなかでの減額。処遇改善の加算を手厚くしたと国は釈明するが、在宅介護の要と言われるサービスの持続可能性を危ぶむ声が強まっている。
「基本報酬引き下げは暴挙」
認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」(上野千鶴子理事長)、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)など5団体は1日、引き下げに抗議し、撤回を求める緊急声明を公表した。2400を超す個人・団体から賛同を得た、としている。
「在宅介護の終わりのはじまり」
呼びかけ団体のひとつ「ケア社会をつくる会」世話人の小島美里さんは記者会見で、「在宅介護の終わりのはじまり」と強い危機感を表明した。
2024年度からの介護報酬改定は、全体では1・59%の増額だった。介護職員の処遇改善が焦点とされ、特別養護老人ホームなど多くのサービスでは基本報酬が上がった。ところが、訪問介護は「身体介護」「生活援助」など全てで減額となり、関係者に衝撃と落胆が広がった。
ヘルパーの人材不足はとりわけ深刻で、「絶滅危惧種」とすら言われる。有効求人倍率は15・53倍に達する(22年度)。若い世代が入らず、60代や70代のヘルパーが現場を支える。東京商工リサーチの調べでは、23年の訪問介護事業者の倒産件数は、調査開始以降で最多を更新した。
このような状況で、なぜ減額なのか。
マイナス改定の大きな根拠は、厚生労働省が行った「介護事業経営実態調査」だ。訪問介護の収支差率(利益率)は22年度決算で7・8%と介護サービス平均の2・4%を上回り、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の11・0%、「訪問リハビリテーション」の9・1%などに続く4番目だった。同省は「収支差率の全体を眺め、調整した」と説明する。
これについて緊急声明の呼びかけ団体は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といった集合住宅に併設されるタイプの訪問介護事業者の利益率が高いためだと指摘。地域を一軒一軒まわる事業者とは経営状況がまったく異なるとし、カテゴリーをわけて考えるべきものだ、と国を批判した。
記者会見では、事業者や介護家族など様々な立場から抗議の声があがった。