6月5日(月)NHK番組「100分de名著」「ショック・ドクトリン」ご案内

6月5日(月)NHK番組「100分de名著」「ショック・ドクトリン」ご案内です。

堤未果さんが指南役です。

「ショック・ドクトリン」 ナオミ・クライン 
  

第1回 「ショック・ドクトリン」の誕生 6月5日(月)午後10時25分~ Eテレ放送

「惨事を狙うのは誰か」

「資本主義の果てなき欲望に、『人間の知性』で立ち向かう。」

戦争や自然災害などの危機に乗じて、多国籍企業などが富を奪うメカニズム「ショック・ドクトリン」。

その構造を明らかにした書から、世界規模の脅威に抗う術を考える。

第1回 「ショック・ドクトリン」の誕生

6月5日(月)午後10時25分~ Eテレ 放送

今こそ知るべき、「衝撃と恐怖の資本主義」の正体

ジャーナリストのナオミ・クラインは、1970年代のチリの軍事クーデターに始まり、ソ連崩壊、アジア通貨危機、米国同時多発テロ事件とイラク戦争、また台風や津波のような自然災害など、社会を揺るがす大惨事に乗じて導入された過激な市場原理主義改革の事実を、歴史的な視点で丹念に追い、この「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」によって先進諸国が危機状況にある国の富を収奪する構造を明らかにした。

新自由主義が世界を席巻し、私たちの暮らす日本も「ショック・ドクトリン」の標的となり得る現在、改めてこの本を読みとき、社会を裏側で動かす構造を見抜く方法や、それに立ち向かうためになすべきことについて考えていく。

100分de名著 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』 2023年6月 | NHK出版
ジャーナリストのナオミ・クラインは、1970年代のチリの軍事クーデターに始まり、ソ連崩壊、アジア通貨危機、米国同時多発テロ事件とイラク戦争、また台風や津波のような自然災害など、社会を揺るがす大惨事に乗…
エラー - NHK

チリの軍事クーデター、天安門事件、ソ連崩壊、米国同時多発テロ事件、アジアの津波災害等々、大きな惨事と並行して起こった出来事を一つの視角から徹底的に検証し「強欲資本主義」とも呼ばれる経済システムが世界を席巻した原因を明らかにした著作があります。

「ショック・ドクトリン」。カナダ人ジャーナリストのナオミ・クラインの代表作です。

市場原理主義を唱える経済学者ミルトン・フリードマンは、「真の変革は、危機的状況によってのみ可能となる」と述べました。

ナオミ・クラインはこれを「ショック・ドクトリン」と呼び、先進諸国が途上国から富を収奪することを正当化する最も危険な思想とみなします。

近年の悪名高い人権侵害は、反民主主義的な体制による残虐行為と見られてきましたが、実は民衆を震え上がらせ抵抗力を奪うために綿密に計画されたものであり、その隙に市場主義改革を断行するのに利用されてきたといいます。

フリードマン率いるシカゴ学派は「大きな政府」や「福祉国家」をさかんに攻撃し、国家の役割は警察と国防以外はすべて民営化して市場の決定に委ねよと説きます。

そして、アメリカなど先進国の民主主義下では推進できなかった大胆な市場原理主義的改革を断行したのが、ピノチェト独裁下のチリでした。

一般市民の処刑や拷問が横行し社会全体がショック状態になったことにつけこむように、シカゴ学派出身者がブレインとして活躍し市場開放を断行。

その結果、チリの産業経済は外資の餌食となり収奪され尽くしました。

クラインによれば、チリは「ショック・ドクトリン」の最初の実験台になったのだといいます。

「ショック・ドクトリン」は、その後も世界中で応用され続けます。

戦争終結後のイラクで連合軍暫定当局(CPA)のブレマー代表は、意図的に無政府状態と恐怖の蔓延を助長し、市民を思考停止状態へ。それを好機として過激な市場開放を断行し、イラクはアメリカ企業の草刈り場と化します。

人類最古の文明遺産の徹底した破壊と掠奪、既存体制の完全な抹消という発想は、個人をショック状態にして洗脳し言いなりにさせるCIAの拷問手法と驚くほど重なるといいます。

ジャーナリストの堤未果さんは、ナオミ・クラインが明らかにした事実を通して、この数十年の歴史を振り返ってみることは、私たちが今、どんな社会に立っているかを理解する大きな手がかりとなるといいます。

番組では、堤未果さんを講師に招きナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」を現代の視点からわかりやすく解説。

新自由主義が席捲する現代社会の中で、私たちが何をなすべきか、社会の裏側をどう見抜けばよいのかを深く考えていきます。

第1回 「ショック・ドクトリン」の誕生

【放送時間】

2023年6月5日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

【再放送】
2023年6月6日(火)午前5時30分~5時55分/Eテレ
2023年6月12日(月)午後1時5分~1時30分/Eテレ

※放送時間は変更される場合があります

【指南役】堤未果(ジャーナリスト)

…著書に「デジタル・ファシズム」「堤未果のショック・ドクトリン」など。

「ショック・ドクトリン」とは、社会に壊滅的な惨事が発生した直後、人々が茫然自失している時をチャンスととらえ巧妙に利用する政策手法だという。

最初にこの手法が大々的に行われたのは、70年代に起こったチリ軍事クーデター。

徹底した民衆弾圧で社会全体がショック状態にある中、ミルトン・フリードマン率いるシカゴ学派が乗り込み、市場原理主義的な改革を断行。国営企業の民営化、規制の撤廃、貿易の完全自由化で、チリの産業経済は外資の餌食に。空前の格差社会が生まれていく。

第一回は「ショック・ドクトリン」の起源を探り、今、世界を席巻している新自由主義がいかにして生まれたかを検証する。

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