隠蔽される情報

2011年3月11日に発生した東日本大震災からまもなく12年(13回忌)。

311 以降、メディアは真実を伝えたのだろうか?

マスコミは戦時中、大本営発表の言われるまま「勝っている勝っている」と伝えながら、実は負けていたことを隠し続けていた。

そして国民のいのちを守るべく政治家・官僚・大学は、国民に対して何をしたのだろうか?

筆者は震災直後から福島県に入り、多くの方の話を聞いてきた。

以下、備忘録として、改めて、現地で聞いたおひとりおひとりの声(言葉)を掲載してみたい。

福島市 20 代女性

『子どもがいるので被ばくについて勉強したいと思い、県内の講演会等に行くようにしている。しかし偉い先生の講演会は、「放射線量はほとんどゼロ」「内部被ばくなどない」「福島は大丈夫」ばかり。正確な情報が、手に入らない。それを声に出すと、さらに非難される』

二本松市 40 代男性

『大人は子供を守ってくれない。我が子らを守る為、除染や食品検査等を自分達で行っているが、国や行政や学者たちが子供達を本気で守ってくれたら、今のような活動をしなくても良かった。口では皆、綺麗事を述べるが、為政者たちは情報を隠し、何事もなかったかのように振る舞う。偉い人たちは、何もしてくれない』

二本松市 40 代男性

『甲状腺学会が福島の子供たちの甲状腺検査の結果を出したがらないから、子供たちの保養先の北海道の病院で甲状腺検査を受けさせようとした。すると、すぐに福島医大からストップがかかった。不都合な情報は、とことんブロックされ隠され続ける。アンダーコントロールされているのは汚染水だけですか?」

相馬市 20 代女性

『テレビや新聞で取り上げられる被災地の人は、いわゆる<頑張っている人>ばかり。もちろん、それは否定しないが、被災者や大切な人を喪った人の全てが明るく、前向きで、努力家じゃない。一日中、自分が死ねばよかった、どうして自分が生き残ってしまったのだろうと家に閉じこもって泣いてばかりいる人も大勢いる。多くの人は<被災者に寄り添う>とか平気で言うくせに、被災者の影の部分を見ようとしない』

いわき市 80 代女性

『私の子供は東電の職員。3月11日の夕方には<とにかく福島を離れ、新潟方面へ逃げろ>と息子から電話があり、新潟へ家族で車で逃げた。3月12日には既に新潟にいた。故郷の富岡の一般住民は、3月12日の朝の時点では、まだ避難の指示さえ行政から出ていなかった』

いわき市 60 代男性

『俺の知人で東電の社員が3名いる。311の事故直後、東大で原子力を学んだ東電社員のひとりは<危なくてこんなところにいられない>と言って、真っ先に家族を連れて福島を離れたよ。直ちに健康に影響がないだって?だったら何故、専門家が逃げるのか?』

南相馬市 60 代男性

『死んだのは人間だけではない。犬や猫、鶏や牛も餓死や安楽死でたくさん死んでいった。死んだ動物達の事は、あまりメディアで取り上げられない。そんな話は、誰も聞きたがらない。人によっては、動物達も家族の一員なのに。人間でも動物でも命を大切に出来ない社会に未来はない』

福島市 40 代女性

『浜通りの猫や犬などのペットを無償で保護している。メディアでは伝えられないけど、白血病の犬や猫が非常に増えている。偉い専門家は<放射能との因果関係は認められない>と言うが、明らかに原発の影響。ペットのエサ代だけで物凄い金額なので、治療代までは払えないのが悔しい』

いわき市 60 代男性

『福島の放射能汚染の実態を、今こそ世界に公表すべき。世界を見渡しても、原発はたくさんある。しかし、事故が起こったケースは少ない。ならば、福島の負のデータを全て公開し、事故のモデルケースとして世界に発信すべきだ。そうすれば世界中から金は集まる。今、国がやっているのは、全く逆の方向で、情報を徹底的に隠している』

いわき市 60 代男性

『俺たちの父親は原発を誘致した。その結果、町が潤ったことは事実。俺もその恩恵を受けて育った。しかし、事故が起きた時だけ、何とかしろと言うのはガキのケンカ。リスクは元々あった。東電にぶら下がって家を買った奴なんていくらでもいるよ。マスコミはお約束のように政治家を叩くけど、そんな政治家を選んでしまった俺たち一般人を何故叩かないのか?あんたら国民がバカで選挙にも行かないから、こんな事態になったと何故伝えないのか?』

いわき市 60 代男性

『マスコミは、原発で働いている俺たちの労働条件をきちんと取り上げてくれているのかい?危険な仕事は下請け下請けで、使い捨て労働の実態をきちんと報道しているのかい?そして、その現実を見て見ないふりをしている大多数の国民のことを、きちんと報道しているのかい?』

いわき市 60 代男性

『原発の周辺は、最終処分場にしたらいい。そのかわり、俺たち仮設の住民が住める代替用地を用意して、そこに移住させて欲しい。俺達仮設の住民の多くはそう思っているよ。誰も地元に帰れるとは思っていないよ。声に出して言う人は少ないけどね。俺の故郷・大熊町は死の街だよ』

いわき市 50 代女性

『とにかく4号機の状態が気になって仕方がない。連日の地震で、いつ爆発してもおかしくないと思う。でもメディアはそれを報道しない。うちの夫と息子は、原発の作業員だから余計に気になる。会社から口止めされているらしく、本人達は4号機について口を閉ざしている』

いわき市 80 代男性

『随分と前のことだが、東電は俺達が住む富岡にカネをばらまいた。その結果、富岡の町は推進派と反対派に二分された。結果的に、富岡は原発を選んだ。そして俺たちは、ある意味「シャブ付け状態」になってしまった。政官財が癒着し、御用学者が安全と言い続け、メディアは安全神話を作り上げた。原発推進派一族で富岡は既に汚染されていたんだ』

南相馬市 60 代男性

『東京で瓦礫を処理する会社は、東電関連の会社だよ。事故を起こして、まだ東電は儲けている。同様に全国へ瓦礫を広域処理することによって儲かるのは、一部の会社と議員・行政等の為政者のみで、一般人は複合型汚染により医療費が上がり、観光地・飲食業・農業には深刻なダメージを受ける』

伊達市 70 代男性

『政治家の使う日本語には<ただちに>とか<おおむね>とか、影響があるのかないのか?住民の理解が得られたのか得られないのか?等、どっちにもとれるような、あいまいな表現が多いね。何か問題があった時のリスク回避の為だろうけど、俺達住民は振り回されてばかり』

いわき市 60 代男性

『除染をやる人が減っているって?そんなの、当たり前じゃないか!除染を一度やれば、素人がやるものじゃないとすぐに分かるよ。除染しても雨が降れば、元に戻る。除染というより移染だよ。そもそも除染の範囲が広すぎる。そして、作業員は、皆、汗をかくから、マスクを外すんだよ。被曝者を増やすようなもんだよ。あれは。でも何もしていないことがばれるとまずい。ポーズをとっているだけ。そんなこと、行政も分かっているに決まっている』

福島市 60 代男性

『5~10年後、福島では子どもたちの一部が病気になり、死んでいくだろう。福島の住民は皆、そのことは口に出さないけど、うすうす気が付いているんだ。メディアは、子どもが死ぬのを待っているだろうけど、政府は必死になって言うだろうね。原発との因果関係は認められないって』



(当時)モニタニングポスト周辺を意図的に除染し、汚染の数値を意図的に操作していることは、もはや現地では知れ渡っていた。が、そんな状況に慣れきてしまっている状況も同時に筆者は見てきた。

人間は常に緊張状態が続くことに耐えられない。

そうしていつしか感覚を麻痺させ、意図的に物事を考えなくなっていく。

国が住民を避難させない、もしくは住民が避難しないことを出発点にして検討される安全基準や各種政策、それらは全て結論ありきで逆算される。


それらは、科学的でも何でもない。

「放射能汚染は克服できる」⇔「放射能は人間の手に負えない」

「除染すれば、我慢すれば住める程度の汚染」⇔「取り返しのつかないほど汚染されてしまっている」

「頑張ろう」「負けない」「応援」⇔それらの言語に対する違和感の言語化

など、正確な情報が遮断されているが故に、人々の闇は増幅され続けている。

そしてそれは、現在でも根本的に変わっていない。

(コロナの)ワクチン肯定派⇔ワクチン否定派

マスク肯定派⇔マスク否定派

国葬賛成派⇔国葬反対派

などなど・・・。

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