宗教法人法をなくした方がよいか?

宗教教団がなくなる日は来るか?

NHK Eテレが昨年10月の「こころの時代」で、「徹底討論・宗教と”カルト” ”カルト”問題の根源をさぐる」と「徹底討論・宗教と”カルト” 宗教といかに向き合うか」を放送した。

宗教批判を排除しない、非常に興味深い討論だった、、、

随筆家の若松英輔さんは同番組で、宗教の持っている「反体制」という性格に注目した。

キリストもマハトマ・ガンディーも反体制であった。

統一教会(現・世界平和統一家庭連合)はそれと異なり、体制側に入り込み、反社会的行為を続けた、と。

差別を助長する宗教団体

宗教が人間存在の意味を問い続け、社会的弱者に寄り添うのであれば、反体制になるのは当然である。

しかし実際に「宗教団体」がその存在をかけて反体制であったことがあっただろうか。

沖縄の現実に向き合い基地に反対した宗教団体はあったか。

原発に反対し続けた宗教団体はあったか。

そもそも戦時体制を支えたのではなかったか。

反体制であり得たのはマザー・テレサやガンディーや中村哲など個人の信仰者であり、宗教団体ではなかったのではないか。

12月25日には「こころの時代」で「徹底討論・宗教と”カルト” 宗教と家庭・性・子ども」を放送した。

統一教会の信者の約8割が女性である。

この討論で見えてきたのは、歴史上の各社会における女性の立場が、宗教団体内部の差別に反映しているということだった。

日本の場合、寺はかろうじて女性たちのアジール(聖域、避難所)として機能したが、社会の中の差別に異を唱え、それを是正させようとすることはなかった。

統一教会は政府と一緒になって女性たちに「家庭こそが大事だ」と言い続け、その家庭の根源とされる「先祖」を使って当の家庭を壊し続けた。

家庭から搾取することで女性はさらに孤立し、教団に依存するようになる。

個人の女性宗教者は救済を実行してきたであろうが、宗教団体は社会と一緒になって差別を助長したのではないだろうか。

そう考えてくると、宗教法人法をなくした方がよいと思えてくる。

つまり税制上の優遇措置や権威や信頼性が付随する「宗教」という分類をなくし、実際の活動が問われるNPO法人や一般社団法人に再申請させるという方法である。

しかしNPO法人の設立要件には、宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと、という項目があるのだ。

信仰による反体制的あり方を否定することなく、宗教教団をなくす方法はあるか?

そういう難問を抱え込んでしまった。

田中優子 連載「これから どうする?」 週刊金曜日 2023年1月27日

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