初の「巨大地震注意」発表 死者32万人想定の南海トラフ地震とは?連動する地震「半割れ」とは?

■死者最大32万人超 南海トラフ巨大地震とは

今回初めて出された「巨大地震注意」の情報は、南海トラフ巨大地震を想定したものです。

南海トラフとは、静岡県沖から九州にかけて連なるプレートの境界線のことで、広い範囲が震源になりうると想定されています。

この南海トラフでは、日本列島の陸地側のプレートの下に「フィリピン海プレート」が沈み込むことでひずみがたまっていて、ひずみが限界に達すると、南海トラフ巨大地震が起きるんです。

震度6以上が想定されるエリアも広く、静岡から宮崎にかけて10の県では震度7が想定されています。

津波は高知県土佐清水市で34m、静岡県下田市で33m、東京都江東区でも2.48mが想定されています。

最悪の場合、想定される死者は最大32万3000人です。

これは、東日本大震災の約17倍となります。

■連動をもたらす「半割れ」 直近2回も

この被害は、震源域が一気に動いた場合の想定ですが、東側と西側のどちらか半分だけが動いて地震が起きる「半割れ」というパターンもあります。

この「半割れ」がどちらかで起きたあとは、反対側でも連動して地震が起きることが想定されています。

実際、直近の大きな地震は2回とも、このパターンでした。

和歌山県の「養源寺」に残された古い絵には、1854年に起きた「安政南海地震」(M8.4)の様子が描かれています。

死者は数千人だとされています。

民家の近くまで大津波が押し寄せ、住民が避難している様子が描かれています。

夜に起きた地震だったので、田んぼに火をつけて誘導したそうです。

この地震の32時間前には、南海トラフの半割れで「安政東海地震」(M8.4)が起きていたのです。

直近で発生した1946年の「昭和南海地震」も、「半割れ」による連動で起きました。

■約100年から150年「周期」で大地震

もう一つ注目すべき点が地震の周期です。

南海トラフを震源とする地震は、約100年から150年間隔で起きています。

【過去の南海トラフ地震】

1361年 正平地震

1498年 明応地震

1605年 慶長地震

1707年 宝永地震

1854年 安政東海地震・安政南海地震 ※半割れ

1944年 昭和東南海地震 ※半割れ

1946年 昭和南海地震 →約100年~150年間隔 直近の地震から78年経っており、政府の地震調査委員会は、今後30年以内にM8から9の地震が起きる確率を、「70%から80%」と試算しています。

8月8日(木)の地震は、想定震源域の西の端で起きたもので、「半割れ」よりも規模が小さい「一部割れ」と判断されています。

■初の「巨大地震注意」 備えの再確認を

気象庁は、2019年から運用を始めた手順にのっとり、「臨時情報」を出すための調査をした結果、今回初めて「巨大地震注意」を発表しました。

仮にマグニチュードが8以上だった場合は「巨大地震警戒」になります。

「警戒」の場合は、津波からの避難が間に合わない地域では、事前避難が求められます。

一方、今回の「注意」では、避難経路の確認や家具の固定など、地震に対する備えの再確認が必要です。

(「サンデーモーニング」2024年8月11日放送より)

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