長歌 死が迫った良寛

この夜らの いつか明けなむ
この夜らの 明け離れなば
老女(をみな)来て 尿(ばり)を洗はむ
展転(こまろ)び 明かしかねたり
長きこの夜を


老病の苦しさ、辛さをそのまま訴えている。
自分では厠(かわや)に立ってゆけず、おしめをさせられ、それも糞尿にまみれている。
苦しくて夜も眠れない。
その長い夜を、いつか夜は必ず明ける、明けたら女が来てこの糞尿まみれの尻を洗ってくれるだろうと、ただそのこと一つに希望を持っている。

良寛にまなぶ「無い」のゆたかさ(著者:中野孝次)|柳は緑
著作者名:中野孝次 発行所:株式会社小学館 2000年12月1日発行 もう死が迫った時期の良寛の歌である。私は、この歌を読むとこころの内側から清められる。 この夜(よ)らの いつか明けなむ この夜らの 明けはなれなば をみな来て 尿(ばり)を洗はむ こいまろび 明かしかねたり ながきこの夜を 老病の苦しさ、辛さを...
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