ガザの病院、戦闘と隣り合わせ 現地で治療の医師、連続講義で報告

ガザの病院、戦闘と隣り合わせ 現地で治療の医師、連続講義で報告 [長野県]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

朝日新聞 2024年2月8日 遠藤和希

 イスラエル軍が侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザ地区の現状を知り、イスラム世界への理解を深めてもらおうと、長野県松本市の「信州イスラーム世界勉強会」が主催する連続講義が、同市で開かれている。

3日の講義では、1月までガザ地区の病院で負傷者の治療にあたった貢川整形外科病院(甲府市)の安藤恒平医師(45)が、戦闘が続く現地の悲惨な状況を報告した。

 安藤医師は赤十字国際委員会(ICRC)のスタッフとして、昨年12月からガザ地区南部の最大都市ハンユニスのヨーロピアン・ガザ病院で患者の治療にあたり、1月20日に帰国した。2018~19年の年末年始には、ガザ地区で病院を巡回し、最大規模のアル・シファ病院でも治療や手術にあたった経験があるという。

 安藤医師によると現地では戦闘の激化に伴って多くの病院が機能を停止。

イスラエルが進軍する北部の病院にいた医師は南部に移って活動を続けている。

 安藤医師のいた病院では住む家を失い、通路の両脇や階段の踊り場で寝泊まりする家族もいた。

爆撃で手足や顔の一部を失ったり、重度のやけどを負ったりした患者もいた。

安藤医師は「爆撃が頻繁にあり、雷が近くに落ちたような音が鳴り響く状態が続いている。

ミサイルがとんでいくと建物も揺れた」と戦闘と隣り合わせの状況で治療を続ける病院の現状を語った。

 連続講義は10、17の両日午前10時~午後4時半にも開かれる。

中東・イスラム研究者で、勉強会の代表を務める東大名誉教授の板垣雄三さん(93)を講師に、イスラエルとパレスチナの歴史などを学ぶ。

 10日は松本市中央公民館(Mウイング)を会場に「20世紀イスラエル国家の成立―欧米の前哨/ホロコーストの罪責の『償い』?」とのテーマで、17日は同市のあがたの森文化会館で「パレスチナ問題にひそむ偽善と非法の暴力―公正な世界を築きなおすには」とのテーマで開かれる。

 オンライン参加や部分聴講も可能で、会場参加は資料代として1日500円が必要となる。

17日にも安藤医師が参加する対話会がある。問い合わせは勉強会事務局(0263・50・5514)へ。

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