野鴨の哲学 キェルケゴール
・ジーランドの湖畔には、毎年季節になると野鴨たちが渡ってきました。
近くに住む老人がはるばる渡ってきた鴨をいたわって毎日餌を与えるようになりました。
野鴨は餌がいつもあり親切な老人のいるこの湖がすっかり気に入りました。
そもそも野生の渡り鳥は同じ場所には住み着かないものです。
ある季節が過ぎると次の土地に向けて遠くに飛び立つ習性をもっています。
ところが、ジーランドの野鴨たちはいつも餌が与えられ何一つ不自由しないこの土地から飛んでいく必要はないように思うようになりました。
そして、野鴨たちはこの湖に住み着くようにようになりました。
野鴨たちはいつしか苦労した長旅の記憶を忘れていきました。
そんな時、いつも餌を運んでくれ、こよなく愛してくれた親切な老人が亡くなりました。
その日から野鴨たちは食べる餌に困るようになりました。
餌に困って他の土地に飛び立とうとするのですが、どうしたことか飛び立つことができなくなっていました。
気が付くと、知らないうちに肥ってしまい、かつて遠くまで飛べたはずの力が全く失われていました。
やがて湖に嵐がやってきて周りの山々から激流が流れ込んできました。
そして、その激流に押し流されて肥った鴨たちは死んでしまいました。
IBM「野鴨たれ」=「アヒル家鴨となるな」
「ビジネスには野鴨が必要なのです。そしてIBMでは、その野鴨を飼いならそうとは決してしません」