「資本主義の次に来る世界」

(書評より)〔1350年~1500年:ヨーロッパ労働者階級の黄金時代〕

 1347年に黒死病(ペスト)が流行し、ヨーロッパ人口の3分の1を死に追いやった。これによって労働力が不足し、一方、土地は豊富にあったので、小作農と労働者が交渉力を持つようになった。彼らは反乱を起こし、最終的には鎮圧されたものの、ヨーロッパの大部分で農奴制の廃止につながった。後の歴史家は、この1350年から1500年を「ヨーロッパ労働者階級の黄金時代」と呼んだ(p.48-51)。

「資本主義の次に来る世界」

==

(書評より)〔ジェヴォンズのパラドクス〕

 石炭の効率的な利用が可能となれば、無駄がなくなって石炭の使用量が減ると期待されるが、実際にはそうならない。効率が上がることで石炭の価格が下がり、かえって石炭の使用が増えるのである。1865年、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズは既にこの現象に気付いていた。これは「ジェヴォンズのパラドクス」と呼ばれている。資源の効率的な使用は必ずしも資源の使用を抑えることにつながらないのだ(p.159)。

「資本主義の次に来る世界」

==

(書評より) 

 福利向上には高レベルのGDPは必要ないことが示される(4章)。GDPではなく、健康で長生きなどの福利指標でみれば、所得とは無関係であることが示されている(p.179)。また、幸福や充実感の指標でみれば、GDPとの関係は希薄である。このことを最初に指摘した経済学者の名にちなんで、「イースタリンのパラドクス」と呼ばれている(p.185)。
 コスタリカの例は驚くべきものである(p.181)。コスタリカは1980年代に平均寿命を延ばし、アメリカを追い越してしまった。その時の国民ひとり当たりのGDPはアメリカの7分の1であったばかりか、まったく成長しなかったのだ。

「資本主義の次に来る世界」

==

(書評より)〔ポスト資本主義は民主主義から始まる〕

 さらに付け加えれば、川や山といった自然に法人格を与えるという方法も面白い。これはアイデアだけでなく、実際に行われていることでもある(p.287-9)。日本はほんの少し前まで、そういった世界だったのだ、、、 債務の帳消しも検討される。古代オリエント社会では、借金は7年ごとに帳消しにされていたそうだ(p.239)。

銀行は実際に保有する資金の約10倍の資金を貸し出しているが、「公共貨幣システム」というアイデアでは、保有する資金だけ、つまり銀行は100%の準備金を用意しなければならないとするのである(p.243)。

 ハウザーらの実験は興味深い。世代を超えて管理する共有資源を被験者に割り当てたが、68%の者は再生可能な量しか取らなかった。残りの32%は目先の利益のために共有資源を存分に使うという選択をした。さらに彼らをグループに分け、集団で決定するように求めると、100%次世代のために資源を残した。何度実験しても結果は変わることがなかった(p.247)。

「資本主義の次に来る世界」

タイトルとURLをコピーしました