横井小楠「談録 沼山対話」1864年『日本の名著佐久間象山・横井小楠』

「西洋人が万国一体・四海兄弟と唱えているのは、天理にかなっているでしょうか」

「あれは原則をいっているだけで、実際には自国と他国について、あるいは自分たち西洋人と他の諸民族とについて、親疎の差別をしているのもやむをえません。古代中国でも華夷の差別をしていたのですから。しかし、本当は華夷東西の区別などなく、みな同じ人類なのですから、公正かつ盛大に交通貿易をおこなうのが今日の自然の理にかなっていると思います」

「横行ということは公共の天理に反しております。世界に乗り出すには、公共の天理をもって現在の国際紛争を解決してみせるというほどの意気込みをもたなくてはなりません。単に勢力を張るだけのつもりであれば、必ず後日の災害を招きます」

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