「一番使いづらい人にあわせること」
まず、なぜ、こんなにマイナンバーカードの普及を急ぐのか。そこからして邪です。
2016年1月にスタートしたマイナンバーカードは最初から国民に不評でした。
住基ネットが失敗したものだから、その代わりに出してきたのですが、看板を替えただけで、国民の理解が得られるわけがありません。
そこで、マイナポイントという餌をぶら下げて、2兆円超もの税金をつかって普及させることにした。
しかし、それでも浸透しない。
そこで、今度は健康保険証と紐づけることにした。
河野大臣がいきなり、“2024年秋に紙の保険証は廃止する”と宣言したのです。
強引な進め方には医師会や介護施設から猛反発が起こっています。
専用のカード読み取り機が必要になるし、職員にも研修が必要。
さらに読み取り機の不具合も報告されています。
保険証の代わりの資格確認証の利用は追加料金を取るなどハードルを上げている。
これではマイナンバーカードを持たない人、申請したくてもできない人は窓口で全額自費負担になり国民皆保険制度は崩れます。
・海外では情報を分散させるのが主流
個人情報のデジタル化には3つの大切な条件があります。
1つ目は政府と国民の信頼関係。
2つ目は情報の取り扱いに対する透明性と機密性。
3つ目は個人情報の持ち主の主権保護ですが、日本はいずれも不十分です。
担当大臣は都合が悪くなると、“記憶にない”とすっとぼけるか、自治体のせいにしてしまう。
これでは信頼は得られませんし、2つ目の透明性について言えば、エストニアは誰が自分の個人情報にアクセスしたかを確認できるシステムがあるし、本人が嫌だと思えば、その情報を削除することもできます。
日本はそうした自由を与えないまま、すべての情報をたった4桁の番号で一つのカバンに詰め込もうとしている。
その情報も当初は災害、税金、社会保障の3つの分野に限定されるはずだったのに、岸田政権はなんと省令で、その範囲をどんどん拡大しようとしています。
そのうえ、強制的に情報を取得し、それが漏れても本人はわからず、誰が責任を取るのか、もわからない。個人情報の主権保護も何もありません。
・ゆくゆくは思想管理や徴兵制にも使われる恐れ
2022年3月4日に運転免許証とマイナンバーカードを一体化させる道路交通法改正案が閣議決定されました。
23年3月7日には年金給付の受取口座も国民が拒否しなければ、マイナンバーカードと自動的に紐づけられることが決まりましたが、こちらも閣議決定です。
怖いのは、“規定された事務に準ずる事務”であれば、省令でマイナンバーカードの利用範囲を拡大できるようになっていることです。
“準ずる事務”なんて、どうにでも拡大解釈ができる。
こうして、国民の知らない間にどんどん、国民の情報が次々にマイナンバーカードに紐づけられているのです。
諸外国では貴重な情報を同じカバンに入れないのは常識で、セキュリティーの概念から、分散化に動いているのに、日本だけが逆行しているのです。
・あらゆる個人情報が紐づけられたら、、、
国民の個人情報をデジタル化し、ブラックボックスに詰めてデジタル庁が管理する。
ゆくゆくはタンス預金なども把握し、国民の資産を可視化して、財務省の悲願であろう財産税徴収も簡単にできるようになるでしょう。
さらに私が懸念しているのは脱炭素を理由にした市民の買い物情報の追跡です。
中国が導入している信用スコアのように、ステーキを買うと、温暖化への意識が低いとして、信用情報が減点になるなどの怖い使い方が、すでにSDGsの名の下に他国でも始まっている。
これは思想管理につながるので注意が必要です。
9.11後の米国では“落ちこぼれゼロ法”を作って貧しい子供の成績を軍に流させる『経済徴兵制』を整備したし、ロシアは今やデジタル赤紙がスマホに送られてくる。
マイナンバーカードを作ってあらゆる個人情報が紐づけられたら最後、今の日本政府の様子では何に使われるかわかりません。
防御するにはマイナポータルアプリを削除すること。
健康保険証も2024年秋までに紙の資格確認書を申請しましょう。
期限1年で毎年更新が必要ですがリスク管理と考えて。
私たち国民が抵抗しなければ、政府のやりたい放題がエスカレートする一方ですから。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/323805堤未果氏に聞く世界の常識と逆行する「マイナンバーカードが危ない」理由とデタラメの必然
(詳細は、幻冬社新書「堤未果のショック・ドクトリン」2023年5月30日刊まで)